ごあいさつ　－つながる－

ひだクリニックお台場 院長の佐々毅と申します。

今日の社会状況について、「分断」という言葉が数多く発せられています。多様性を求める声がある一方で、現実には過度の同調圧力から他者を排除する力が大きくなっているように見えます。このような社会では、人は「空気を読み」「枠から外れないよう」に考え行動します。しかし、この努力を苦痛に感じ、実りもない状況になると、人のこころやからだが悲鳴をあげ、その結果うつ症状・被害念慮・パニック発作などの様々な症状を引き起こします。

このように考えれば、「こころの変調」や「こころの病気」は誰にでも起きうる問題です。しかし、いまだこころの問題は特別視されがちのため、自身の不調を否認したり「自分は価値がない」「誰もわかってくれない」と考えがちになります。つまり、「症状による苦痛」に加え「病気になってしまった」ことに対する悲嘆が重なり、社会参加を避け孤立に至るという悪循環に陥ってしまうことがあります。

わたしたちは、このような二重の苦悩に対しともに歩み、みなさまが心豊かに生活を送れるようお手伝いができればと思っています。正確な知識に基づく診療に加え、生活や就労を支援するプログラム、デイケアを通じた仲間づくりを通して「仲間のいる、安心した居場所」を作り「仲間とともに回復への歩み」を進められるよう支援していきたいと思っております。

心の不調や病気を経験された方がそこから大切なものを得、分断や孤立を乗り越えて人と人とのつながりの大事さを理解し、その思いを周りの人に伝えていただければ社会そのものも変わり、誰かを排除することなしにみんなが心豊かに生活できる社会になるのではないでしょうか。このような願いを込めて、お台場の地に開業する運びとなりました。ここで真のダイバーシティー（多様性）を産み育てられるように。